3月 03

講談社の雑誌「本」に「ソーシャルブレインズ入門」のPR用エッセイを書かせていただきました。面白いという声がいくつか届きましたので、講談社さんのご好意で、こちらに転載させていただきました。

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今度刊行した『ソーシャルフ?レインス?入門』(講談社現代新書)は、ヒトやサルなと?か?持っている、他者とうまくやるための脳の仕組み、社会的脳機能(ソ ーシャルフ?レインス?)について解説した本て?す。
僕か?なせ?、このような研究を始めたのかと言えは?、他人の目や言葉か?気になって仕方か?なかったからて?す。

いままて?四〇年間誰にも話したことか?ないのて?すか?、ソーシャルフ?レインス?研究を始める大きな動機つ?けになった、僕か?幼稚園の頃の話をしようと思いま す。

幼稚園て?園児向けのハ?サ?ーか?行われたときのことて?す。普段、自分のお金を自由に使う機会のなかった僕は、とてもわくわくしていました。あっちの出店 に行き、こっちの出店に行き、何を買おうか真剣に悩んて?いました。

そこに、よそのお母さんたちの会話か?耳に入ってきました。

「年長さんたちか?買うものはやっは?り違うわね」
「と?ういうこと?」
「年長さんには、地球コ?マみたいな大人っほ?いものか?人気なのよ」
「そうなの?」

僕に聞こえてきたのはそれた?けて?、前後の会話はわかりませんて?したか?、さあ、その会話を聞いて、僕は何を買ったて?しょう。

そのとき、僕か?考えたことは、こんな感し?て?す。
「年長さんっほ?く見える年少さんというのはカッコいいに違いない」
「それて?は、年長さんっほ?い買い物をすれは?いいし?ゃないか」
「し?ゃあ、地球コ?マを買えは?いいのかな?」
「地球コ?マ欲しいなぁ」
「しかし、それて?は芸か?ないて?はないか」
「それし?ゃあ、年長さんっほ?く見える他人と違う買い物はないた?ろうか?」

そのような熟慮に熟慮を重ねたうえて?僕か?買ったのは、結局トランフ?て?した。「トランフ??」と思われるかもしれませんか?、当時四歳の僕はトランフ?を買う 自分か?カッコいいと思っていましたし、本人にとってその選択は会心の一撃の つもりた?ったのて?す。た?から、「ここて?トランフ?選ふ?ってすこ?いカッコいいね。 君、本当に年少さん?」というようなほめ言葉を誰かか?かけてくれるのを期待 していました。

て?も、実際には何も起きませんて?した。トランフ?を売ってくれたおは?さんも何も言ってくれなかったし、友達や親にトランフ?を見せても何も言ってくれま せんて?した。

これは、僕の中て?、もっとも鮮明に残っている人生初期における失敗体験て?す。そのときのものすこ?いカ?ッカリ感をいまて?も覚えています。いったい何か? 悪かったのて?しょうか。

ソーシャルフ?レインス?とは、冒頭て?述へ?たように「ヒトか?ヒトとうまくやるための脳の仕組み」て?す。

わたしたちの脳は、社会的な情報にきわめて敏感て?す。自分のまわりの人々か?つくる「空気」を読み、その「空気」か?示すその場のルールに従おうとします。「空気」というルールは常に揺れ動いています。さっきまて?正しかったこと か?、数秒後にはまったく間違いになることもしは?しは?て?す。そのような、不安 定な社会的なルールに従って生きているのか?、わたしたちヒトて?す。そして、 そのような社会環境文脈の変化に敏感に反応し、それに対して適応的に行動を 切り替えてくれる仕組みか?、ソーシャルフ?レインス?という脳の働きなのて?す。

最初の話に戻って、僕のトランフ?事件をソーシャルフ?レインス?的に解釈するとと?うなるか、考えてみましょう。このケースは、「他者からの社会的影響によ って選択の指向性か?影響を受け、さらに社会的な自己評価を高めるため、より 環境に最適化しようとして失敗したケース」ということになります。

当時、僕は、何を買うか決めかねていたところに、ます?、お母さんたちの会話を聞いて地球コ?マか?欲しくなりました。「年少さんなのに年長さんみたいた?わ」 とほめられるのを期待したからて?す。しかし、それに飽き足らす?、さらにもう 一歩踏み出し、より高い社会的評価を勝ち取ろうとしたのて?す。本当は、僕は トランフ?なんか欲しくなかったのて?す。て?も“他の子供たちとは違う、しかも 年長さんより年長さんらしい”という社会的評価を獲得するには、そういうリ スクを厭わす?チャレンシ?する以外になかったのて?す。

それ以降、僕は、学生時代も大人になってからも同し?ようなことを繰り返してきた気か?します。主流を選へ?は?楽なのに、他人の目か?気になって主流を選へ? ない。そのような失敗の連鎖か?、僕には不思議て?なりませんて?したし、他人の 目か?気になって仕方か?ない、素直になれない……そんな自分の性格をなんとか て?きないものかと悩んて?もきました。しかし、いつもと?うしてそうなってしま うのか、理由を客観的に説明することもて?きす?、途方にくれていたのて?した。

ところか?、そんな失敗続きも悪いことは?かりて?はありません。途方にくれ悩み続けていたおかけ?て?、自分の悩みを解決してくれそうな、脳と社会を研究対 象とする脳科学分野「ソーシャルフ?レインス?研究」の存在に気か?ついたからて? す。

ソーシャルフ?レインス?研究は、僕か?取り組みはし?めた二〇〇四年当時、神経科学の主流からは完全に外れていて、誰もまた?科学として成立させることに成 功していない研究領域て?した。それた?けに、うまくいけは?新しい研究領域を新 規に開拓て?きるかもしれない挑戦しか?いのあるテーマて?した。言い換えれは?、 リスクか?高いのて?それまて?手を出す研究者か?ほとんと?いなかった分野とも言えます。

ソーシャルフ?レインス?研究は、最終的には、ヒトとヒトのコミュニケーションに関わる、社会的行動の脳内メカニス?ムを理解することを目的としています。 他人の目か?気になって仕方か?ない僕には、「この分野を研究することを通して “なせ?自分は他人の目か?気になるのか”の仕組みを知りたい」という強い動機 か?あったのて?す。

そんな下心を抱えなか?ら、ソーシャルフ?レインス?研究を始めたものの、たちまち大きな困難に直面しました。なせ?なら、これまて?の神経科学か?一つの脳た? けを対象に研究を進めていたのに対して、ソーシャルフ?レインス?研究は複数の 脳を対象にしなけれは?いけないからて?す。そのためには、これまて?蓄積されて きた方法はほとんと?使えません。ます?、まったく新しい方法を開発するとこ ろから始めなけれは?なりませんて?した。

そのうちに、これまて?別々に扱われていた「脳」と「社会」という二つの異なる種類のネットワークを、「関係性」をキーワート?として統合的にとらえ、理 解する必要性か?あることか?分かってきました。そのためには、ヒトのソーシャ ルネットワークた?けて?なく、ヒトの脳の中の階層的な神経ネットワークもネッ トワークの一部として同等に考えるという、これまて?にない視点の導入か?必要 て?した。

これは、言われてみれは?当たり前に思える考え方て?す。しかし、脳と社会の中にある、多層的なネットワーク階層を同等に扱い、あらゆる視点から自由に 眺める能力を獲得するということは、し?っさいにはそんなに簡単て?はありませ ん。そのような視点を持たなかったため、これまて?の神経科学は、ソーシャル フ?レインス?という脳機能を扱いあく?ねてきたのて?した。

それて?は、この「視点を自由に動かして社会を眺める」自由か?与えてくれるものは、何て?しょうか。それは、「物事の客観化能力」て?あり、「戦略的思考」 て?す。

この二つは、ト?メスティックな視点からた?けて?は身につきません。物事をあらゆる角度から見る自由な視点を持たない限り、本当の客観化能力は身につか ないのて?す。この客観化能力を身につけるためには、過酷な作業か?要求されま す。普段は隠している自分の本当の姿をいったんすへ?てさらして相対的にマッ フ?し直す自己客観化か?必要になります。

さて、このような作業を通して、僕は幼稚園の頃から続いてきた失敗の仕組みを、客観的に理解て?きるようになってきました。た?からと言って、「トランフ? 事件」から続く失敗の連鎖か?とまったわけて?はありません。たた?、いまて?は失 敗しても、その理由か?分かるようになってきたのて?す。そして、そんな失敗を 楽しめるようになってきたのて?す。長年この問題て?悩んて?きた僕には、このこ とは大きな救いて?した。

ここまて?の話をまとめると、ソーシャルフ?レインス?研究を通し?て、自在に動かせる新しい視点を獲得することは、すなわち、自分自身を社会との関係性に もとつ?いて客観的に理解し、社会て?戦略的にふるまうためのツールを獲得する ことた?と、僕は思います。

そのような、社会とヒトの関係を考えるツールをき?っしり詰め込んた?のか?、『ソーシャルフ?レインス?入門』て?す。自分と社会を上手につなき?、いまよりも 少した?けよい世界を作るためのコツは、ちょっとした努力て?誰て?も身につけら れるはす?て?す。もしかしたら本書は、家庭や職場なと?て?みなさんか?感し?ている 日頃の悩みの理解と解決に、お役に立てるかもしれません。せ?ひお試しくた?さい。

(ふし?い・なおたか???  理化学研究所適応知性研究チームリータ?ー)

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“『ソーシャルブレインズ入門』のPR用エッセイ” に 2 件のコメント

  1. chdyさんのコメント:

    amazonにある3冊買ってみました。

  2. Naotakaさんのコメント:

    お買い求め、ありがとうございます。
    ご質問等、こちらでもtwitterでもお受けします。