11月 16

えーっと、なんか8月位からアクセス制限されてたみたいで、面倒なので放っておいたらそのままになってて、特に緊急で書きたい事も無かったのでご無沙汰です。とか言っても、日々の思いつきはメモ帳代わりのTwitterでツイートしてるので、別に新しい事も無いですが、気が向いたので簡単な近況報告。

9月に「拡張する脳」っていう本が新潮社から出ました。この本では、「つながる脳」の後の4年の間に僕の研究グループでやって来た事をまとめてあります。その殆どが、研究過程の細々した事とか、その途中で湧き起って来た疑問を説明しているだけなので、一般的な脳科学の知識が欲しいヒトには全くお勧め出来ません。

僕は、もともとのバックグラウンドが医学なので、いわゆる認知科学に関する系統的な教育を全く受けていません。大学院でも自分の研究に関係する論文は読んだし、知識も十分だと思うけど、それ以外の部分では素人と同じレベルです。
そういう僕がいわゆる”脳科学”の教科書的なお話を書ける訳がないのです。ドーパミンがどうとか、セロトニンがどうとか、 見て来たように書く事は出来ますけど、そんな受け売りの話をしてもつまらないし、価値はない。セロトニン出してみんなが幸せになれるっていうなら、みんな本読んで幸せになれば良いよね。うんうん。でも、そういう本を読んで幸せになったヒトなんかいないよね。たぶん。

なので、僕が書くテキストは原則的に僕が自分で経験して考えた事だけです。誰かの受け売りではなくて、自分の経験を自分の言葉で書いてきました。ときどき僕の書いた内容が、どこそこの哲学者が言ったこととよく似ているとかよく言われるんだけど、そういうの本当に全然知らなくて、たまたま似た話になったんだろうなとしか思わない。っていうか、僕が抱えてる問題なんて大した事無くて、誰だって共通持ってる問題なんだから、似たような議論になるのは全然不思議じゃないよね。
ただ違うのは、僕の場合は、経験が考えることの先にあることかな。考える前にまず動くスタイルは、きっと根本的に違う気がする。

本の中でも書きましたけれど、僕の研究スタイルは 仮説検証型ではなくて、探索型です。詳細は本を読んでいただくとして、探索型研究の話を書くって言うのは探検記を書くようなものです。なので、僕の本は基本的に探検記です。そういう意味では、自分で読み返しても結構面白い。僕の研究分野のバックグラウンドを知らないヒトが読んでも面白いように、今回は緑さんというライターの方にお手伝いいただいているので、これまでよりは読みやすいはずです。

まあ、そういう本なので、時間が経ってもそんなに陳腐化しないんじゃないかと思います。ものがたりは、途中にあるんであって、ゴールにあるんじゃないからね。

「拡張する脳」では、「つながる脳」と違って、いくつかの全然方向の違う研究テーマを扱っています。内容的には発散気味に思えるかもしれないけれど、僕の中では全く矛盾がなく全部が同じ方向を向いているので、そういう事をこれから分かってもらえるような努力をしないといけないなというのは、近頃の自分を振り返って思う事だったりします。

本屋さんで見つけたら立ち読みしてみて下さい。 装幀がとてもカッコいいです。ジャケ買いしても後悔しないかもw