7月 28
今日初めて一頭に256チャンネルのECoGを入れる事に成功。チャンネル数で言えばラボ内新記録。すでにインプラント自体は技術的には大した事ないので、後は術後ケアの問題。今回の256の場合は間に4ヶ月程度間をおいて2期的に手術を行った。今回はたまたま4ヶ月の間にいくつか実験を行ったので間があいたけれど、続けてやるなら1週間あければ十分な気がする。両半球のしかも皮質全体からのECoG記録は世界でも多分殆ど例がないはず。
来週にはポリイミドのフレキ基板にパリレンコーティングした新開発の電極が納品される予定。こちらの電極は、プロトタイプだから仕様を色々変更して、当初の予定より少し値段が上がったけど、それでも今までの白金電極と比べて値段が大体4分の1以下になった。量産すれば、多分128チャンネルで数万円で出せるようになるだろう。ECoGエバンジェリストとして、希望があれば、器具一切持って手術にも行きますから遠慮なくお問い合わせを。
それにしても、ECoGを使い始めてまる3年。その間に色々勉強したけど、やっぱり便利。ちなみに、Method論文が先週PLoS ONEに出ました。興味のあるかたはぜひどうぞ。オープンアクセスだから、誰でもDL出来ます。DLはこちら。
3月 18
最近暇つぶしに、NIRSを使ったBMI遊びをやってます。単純に4方向を頭で考えるだけ、何のフィードバックも無し、なのだけど、データからの予測確率は相当高い。なんかこんなに簡単にデコード出来ていいのかと思うが、今日二人目をやってみてやっぱり悪くない。あんまり期待しないでというか、殆ど期待しないで始めた実験ですが、一体どうしたものでしょう。良すぎて困る。EEGのデコーディングがトレーニングが相当必要で、しかも半分くらいの被験者でしか使えないのに比べたら、光トポって悪くないんじゃないかと。ま、反応はちょっと遅いですけどね。実験始めて2週間程度で、ほぼEEGデコーディングの最高性能に到達したのかもしれません。EEGさん、すいませんねって感じ。
この実験も、うまくプレスリリース打てば、このまま新聞には載るだろうなぁ。まあ、短期的な視野でみれば、そういうやり方も悪くないでしょうが、長くは生きられないから、そんなことはやんないのが吉だろう。
関係ないが、ちょっと期待してたDellのAdamo。重すぎて話しにならない。Air対抗って、Airより重くてどうするんだよってみんな普通に思うよね?結局Type Gくらいしか選択肢がないんだな。がっかりだよ。
2月 28
今日、日大のF谷先生に協力いただいて、ECoGのインプラントを行った。片半球が硬膜下で、もう片半球が硬膜上に設置。左右64チャンネルづつでトータル128チャンネル。TPJからParietal, S1, M1, PMにPFCと広範囲をカバーしています。
で、今回は新しい道具を幾つか導入。大物としては、ヒトの脳外科手術用パーフォレーターとクラニオトーム。パーフォレータはバーホールという丸い穴を開けるドリルで、クラニオトームは穴と穴を繋ぐカッター。まずパーフォレータは頭蓋骨を貫通すると自動的に止まるというのが素晴らしい。全くの事故フリーという訳では無いようだけど、今日開けた穴8つは特に問題もなかった。多分あの骨の厚さなら大丈夫なのに違いない。今までは歯科用ドリルで恐る恐る開けていたので、ストレスが大きく減る事になった。
さらに、クラニオトームは正しい角度で使うと、ギュイーンと驚くべきスピードで骨が切れる。凄いですよ、マジで。今までの歯科用ドリルで30分かけていたのが、多分数分で終わる。両半球で大きく開けたのに、あっという間でした。
さらにさらに、脳外科用のセルフタップネジが精度が高くて素晴らしかった。一旦タップが効くと、後は 大した力も必要なく、グイグイ入っていく。おかげでぶれる事もなくて、とても安全。ただ、値段が高いのがちょっと問題。
という訳で、上等な道具はやっぱり素敵だと思った。まあ、僕たちの使っているものは、外科の先生方が使うような一流品ではないけど、専用の道具というのは、やはり意味がある。
6月 18
今日は午前中RISTEXの神経倫理のミーティングに参加。その後、駒場に移動して、ikegさんのところで講義。90分を二コマ。最初はサルの社会性の話をして、二コマ目はBMIの歴史とこれからみたいな話をしてきました。最近は90分しゃべるのに必要なネタの分量が分かってきたので、話す事は大して抵抗ありませんが、自分の実験の話だけで180分はちょっと厳しい。なので、ヒトの話とかyoutubeから取ってきたビデオとかで多少膨らましたりしました。ブレインストーミングみたいなトークなら他の人が半分以上話してくれるから楽ですけど、学生講義はほとんど一方的だからそうもいかないです。すいません
トークでは、出来るだけ一番新しい内容とかも入れて、同じ話を繰り返す事は極力避けようと思っているのですが、 なかなかそうもいかない。そういう点ではやや反省。
で、 終わってからikegラボのみなさんと挨拶して、構内のイタトマでシュークリームをご馳走になりつつ、妙に内省的なikegとだぶーさんと四方山話。ま、隣の芝は青いってことだよ。物事を奇麗にまとめるのは一種の才能だけど、大抵そのやり方では本質を逃しているのだから心配する事はないのだ。
4月 09
1月に入れた硬膜下電極を入れ替えようと思ったら、感染と癒着のせいで片半球からの抜去しかできず、新しい電極を入れる事が出来なかった。最初の手術の色々な手技の不手際が理由だけど、何をすると何が起きるということが分かったという意味で非常に勉強になりました。でも、くやしい。仕組みとして、間違いなく正しいのだから、色々な小さなコツをつかんで行くしかないです。今では当たり前の技術を開発したEvartsだって最初の頃は沢山トラブルがあったって聞くし、僕たちも同じ種類の困難を乗り越えて行くしかないですね。他の人達が味わえない先駆者としての楽しみということにします。それにしても、新しい技術開発に興味の無い研究者って、何が楽しいんだろう。売ってるものを使うだけじゃ到達出来ない場所に行く醍醐味を知らないのは可哀想。
ちなみに昨日届いた細野晴臣と地球の仲間たち~空飛ぶ円盤飛来60周年・夏の音楽祭~
がすごく良い。あんなに力の入っていないライブって初めて見ますけど、それだけに妙にリラックスできて素敵。